いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「…その子は綺麗な眼の色をしてたから、俺はその眼に似合いそうな真珠の腕輪をあげたんだ。そしたら女の子はそれを気に入ってくれたみたいで、ずっと大事にするって言ってくれて」

真珠の、腕輪?

「再会したとき、女の子は俺のことを忘れてて俺もそのときは記憶を失くしてたけど――女の子はちゃんと約束通り、腕輪をまだ持っててくれた」

不意に、填めている腕輪ごと左手首を陸の掌にやんわりと捕らえられる。

「……え?」

「やっぱり、晴の眼の色にとっても似合ってる」

陸はそのまま晴海の手首に唇を寄せる。

「…り、陸……?」

「ずっと大事にしてくれてて、嬉しいよ」

訳が解らず困惑して緋色の眼を見つめ返すと、陸はくすりと笑みを零した。

まさか、そんな――

「わ…私、が……その女の子?」

「そうだよ」

「でも、私…っそのときのこと、何も覚えてないっ……」

「いいよ。晴が今の俺のことを覚えていてくれれば」

では自分は先程、幼い頃の自分に嫉妬していたのか。

「俺が、何度でも君のことを見付けるから」

陸は小さく深呼吸すると、晴海の眼をじっと見据えた。
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