いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「…香、也?おま…」

「俺一人じゃ生憎、お前の大切な晴海を助けてやれないんだ。俺としても非常に不本意なんだが」

「――だったら、俺が霊力を抑える。それでいいんだろ?」

再び割り込んできた声のほうを振り向くと、流し場の入り口に息を切らせた銀髪の青年が立っていた。

「!陸っ…」

「そういうことになる、な」

香也は陸の姿には目もくれず、晴海の姿を見据えたまま少々不満げに頷いた。

「ごめん風弓、遅くなった…っ」

陸は自分を助け起こしてくれつつ、当惑気味に香也の姿を見つめて眉根を寄せた。

「…まさか、お前と協力する羽目になるなんてな…」

「晴海のためなら、俺は構わないぜ」

「当然だろ」

確かに、陸であれば香也の魔力と同等の霊力を持ち合わせている。

先程からの発言を思い返すと、香也はもしや最初から陸が来るのを待っていたのだろうか――

「…俺が魔力の流れを止めると同時に同じ力の程度で霊力を抑えろ。合わないと意味がない」

「…解った」

香也が一歩進んで晴海に近付くと、陸はその横に並んで立った。

その身を圧し返そうとする晴海の力に堪えながら、二人が構えた両手から其々の力を象徴する光――様々な彩りが入り混じった色をした魔力と、銀色をした霊力が溢れ出す。
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