いとしいこどもたちに祝福を【後編】
29 燻る思案と薫る紫煙
「だから今度は……私がその女の子の力になりたいの」
――呆然とする陸の元へ、夕夏と京が様子を伺いに駆け寄ってくる。
「は…晴海、一体どうしたの?」
「なんで、わたしのなまえしってるのっ…?」
夕夏からの問い掛けに、晴海はすっかり怯え切ってふいと顔を背けてしまった。
「っ…しらないひと、いっぱい……ふゆちゃん、ここどこ?」
なんてことだ…これじゃあ、まるで――
「風弓くんのことは判るのか…」
独り言のように呟きながら、京は晴海と同じ目線の高さまで膝を落とした。
「ごめんね…驚かせちゃったかな。僕の名前は京っていうんだ。君の名前も教えてくれるかい?」
そしてまるで小さな子供に問い掛けるように、晴海に優しく微笑む。
すると、晴海はそろりと京のほうを振り向いたが、またすぐに風弓の腕に顔を埋(うず)めてしまった。
見兼ねて小さく「大丈夫だよ」と声を掛けてやると、やっと晴海は弱々しく声を上げた。
「………さいが、はるみ…」
「有難う、晴海ちゃん。こっちは僕の弟で、陸。そっちの女の子は夕夏ちゃんだよ」
「……ふゆちゃんの、おともだち?」
じっと見つめながら問われ、一瞬返答に困る。
「う…ん、そんなとこかな」
「は…晴海、一体どうしたの?」
「なんで、わたしのなまえしってるのっ…?」
夕夏からの問い掛けに、晴海はすっかり怯え切ってふいと顔を背けてしまった。
「っ…しらないひと、いっぱい……ふゆちゃん、ここどこ?」
なんてことだ…これじゃあ、まるで――
「風弓くんのことは判るのか…」
独り言のように呟きながら、京は晴海と同じ目線の高さまで膝を落とした。
「ごめんね…驚かせちゃったかな。僕の名前は京っていうんだ。君の名前も教えてくれるかい?」
そしてまるで小さな子供に問い掛けるように、晴海に優しく微笑む。
すると、晴海はそろりと京のほうを振り向いたが、またすぐに風弓の腕に顔を埋(うず)めてしまった。
見兼ねて小さく「大丈夫だよ」と声を掛けてやると、やっと晴海は弱々しく声を上げた。
「………さいが、はるみ…」
「有難う、晴海ちゃん。こっちは僕の弟で、陸。そっちの女の子は夕夏ちゃんだよ」
「……ふゆちゃんの、おともだち?」
じっと見つめながら問われ、一瞬返答に困る。
「う…ん、そんなとこかな」