いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「今日は色々大変だったな…晴海ちゃんはまだ眠ったままなのか?」

「一度は目を覚ましたけど…またすぐ眠ってしまったんだ。久々に多分急に力を使った反動で、相当疲れてるんだと思う」

陸が俯きがちにそう伝えると、周も難しい顔付きで頷いた。

「そうか…まさか俺が掛けた魔法を解いちまうとはなあ…」

十年もの長い間、周が施してくれた魔法は完全に晴海の能力を隠してくれていた。

それを内側から弾き返してしまう程の強い力を一気に発現したのだ、かなり消耗したに違いない。

「ところで風弓くん。うちの愛梨が晴海ちゃんに付き添いたいそうなんだが…構わないか?」

「あ、有難うございます…でも、今の姉ちゃんは……」

「?」

俄に戸惑い始めたこちらの態度に、愛梨は怪訝そうに首を傾げる。

そうだ、二人にも晴海のことを話しておかなければ。

取り急ぎ現状を説明するため、自身の掌を掴んだままだった晴海の手を、起こしてしまわないようにそっと外した。



「――成程な。要は俺が能力を封印する前の状態に、能力どころか中身まで一緒に戻っちまったってことか」

事情を話し終えると、周は困り果てた様子で低く唸った。

「やっぱり、父さんが掛けた魔法を無理矢理解いた影響かな…晴の能力を抑えてたのは、俺や風弓が月虹で掛けられてた制約の魔法と同じでしょ?」

「え!?」

陸の言葉に耳を疑ったが、問われた周当人はすんなりと頷いた。
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