いとしいこどもたちに祝福を【後編】
ふるふると首と手を降りながら、夕夏は苦笑した。

「実際、君が来てくれるまで腑抜けだったしね、私…」

「陸も本当は、私と一緒に病院に来たがってたの。けど今日は殆ど時間が取れないらしくて」

陸は、戻って来てからまだ一度も夕夏と再会出来ていない。

愛梨と共に来客と顔を合わせなければならないとのことで、これから数日は忙しくなるらしい。

「戻ってきたこと、今度こそ街の人たちにもお披露目しなきゃいけないんでしょ?愛梨さんも一緒になんだし、仕方ないよ」

「うん…」

「でも状況は全然違うけどさ、愛梨さんが目を覚ましたって聞いたら希望が持てたよ。賢もきっと目を覚ますんだってさ」

「そうだね……賢夜も、 何か夢を見てたりするのかな」

「……そうだといいな。愛梨さんみたいにはいかないだろうけど、せめて楽しい夢を見てくれれば」

そう言いながら夕夏は、ぽんぽんと賢夜の胸元を叩いた。

「ところで」

「?」

不意に満面の笑顔で切り出した夕夏の意図が判らず、晴海は首を傾げた。

「そのあと陸とも話、したんじゃないの?どんな話したの」

「!」

瞬間、どきりとして胸の鼓動が跳ね上がった。

「結局前に私が言った通りだったじゃない、ね?」
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