もう一度、あの夏にもどれるなら。
・・・莉子side・・・

自室に戻って備え付けのシャワーを浴びる。

髪は…乾かさなくてもいいだろうか。そんな事を考えていると玄関のドアが控え目にノックされた。

「…莉子ちゃん、起きてる?私だよ。」

声を聞いて少し安心する。花音だ。

どうしたの?とドアを開けて聞く。怯えた顔をした花音が立っていた。

「あの…ね。子供っぽいって笑わないで欲しいんだけど…その、今日一緒に寝てくれないかな?」

モジモジしながら告げられた一言に私は笑うより先にきょとん、としてしまった。

「…何か今日、怖いんだ。よくない事がありそうで…だから、その、莉子ちゃんさえよければ…一緒に寝てくれないかなって…」

…それもそうだ。友達が次々と死んでいく中で…ましてや花音は(私もだが)女の子だ。

私もこの状況でおかしくなったのかな…苦笑が思わずもれる。

いいよ、一緒に寝よっか。そう言うと花音は花が咲くみたいに笑った。

「ありがとう…っ!じゃあ私自分の布団取って来るね!」

そう言うと自分の部屋の方に駆けて行った。

あんなに走って転ばないだろうか?少し不安になる。

花音が寝るためのスペース作りながら今日の夜は何もありませんようにと願わずには居られなかった。
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