もう一度、あの夏にもどれるなら。
・・・莉子side・・・

下に行くとすでに皆集まっていた。

皆…と言っても昨日から2人少ないのだけども。

なんとなくで決まっているいつもの席に着くと、茜がポツリ、と呟いた。

「…もう、ヤだよ。」

肩が震えて今にも泣きそうな声だ。

「なんで、私達がこんな…もうヤダ。帰りたいよ。」

俯いたまま呟く茜に、何と声をかけていいのか分からない。

思わず私も俯いてしまう。と、目の前に湯気の立つ紅茶のカップが置かれた。

「ハイ。朝ごはんはもうちょっと待ってね?」

お盆を持ったまま瑠璃はいつもみたいに笑った。

「こういう時に言うのも何なんだけどさ…誰か朝ごはん作るの手伝ってくれないかな?
 ホラ、一人だけだと厳しいし…できれば、でいいんだけど。」

瑠璃の目元は赤くなって腫れていた。泣いたんだろうか?

それでも笑う瑠璃が痛々しくて、私が手伝うよって気づいたら言っていた。

「ホント?助かるー!んじゃ、皆は待っててね~」

そう言って私の手を引くと、半ば駆け込むようにして台所に行く瑠璃。

「…ゴメンね、無理やりみたくなっちゃって。」

下準備を済ませてあった野菜なんかを調理しながら呟く瑠璃。

困ったように笑われ私もどうしていいか迷う。

迷った末に瑠璃の頭を軽く撫でると、彼女は驚いた顔をした。

大丈夫、私がしたくてしたんだから。気にしないで?

「…うん。ありがとね。ちょっと元気出た!」

へへ、と笑うと手元を動かすのを再開する。少しは役に立てたかな?

こういう時だからしっかり食べて欲しい、と昨日よりは少ししっかりしたメニューのご飯を作り、皆の待つ食堂へと持って行った。

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