記憶の片隅
+++

「…ッん」

一瞬だけ頭に痛みが走った。

「いっててて…」

あれ。

体があるし。

「俺…なんで生きてんの?」

正直、ビルのしかも12階から飛び降りたら死ねるかなー、と思っていた。
…俺が甘かったのか?

人類は相当頑丈に創られているらしい。傷一つない。

…いやいやいや。

それはおかしいだろ。
さすがに傷一つないのはありえない。

…それにしても…景色が、白、白、白。
どこでもここでもとにかく真っ白い。

上を見上げると、まるでそこだけ切り取られたかのような嘘臭い青空が広がっていた。

「…天国…」

…ボソッとつぶやいてみた「可能性」を俺は否定した。
俺なんかが天国に行けるはずがない。

ふと下を向くとそこには天使が―――。

ん?

天使?

もう一度下を見る。

…そこにはスヤスヤと眠る真っ白な翼を持った天使(なのかは分らないが翼を見る限り天使だと思う)が気持ちよさそうに寝ていた。

「お、お~い…?」

とりあえず肩をゆさゆさと揺さぶってみた。

「…ぁ…起きまひゅ…」

眠そうな目をこすりながら天使はむくりと起きあがった。

「…えーとわたくし…堕天使です。アリエッタと申します」

…やはり天使なのか。「堕」のオマケ付きだけど。

「あ、初めまして。忍といいます」

なんて辺鄙な出会いだろうか。

しかしこれが、全ての始まりだった。
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