溺愛†マドンナ
クツの先を見ながら唸っていた私が急いで前を向き直すと、さっきまで離れた所にいたハズの秀悟が私の顔を覗き込む様に立っていた。


「し、秀悟、アンタいつの間に………っ!!」


「んあ?あそこで世那が突っ立ってなんか悩んでるのが見えたから……具合悪いのか?世那」


秀悟はそう言って、心配そうな表情を作る。


恐らく私が声をかけようか悩んでいた姿が、体調不良かの様に見えちゃったんだな……


「大丈夫だよ秀悟。それよりはよと静帆は?」


私は秀悟を安心させる為、極自然に笑って答えた。


だが秀悟は、スッ…と私から目を逸らす。
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