溺愛†マドンナ
そう言ってフッ…と笑った剣君の笑顔は、最初の頃の冷たく、全てを遠ざける様な笑顔ではなくって、何かを慈しむ様な優しい笑顔。


それから少し歩いて、今日は用事がある為一緒に帰れない秀悟が、パタパタと廊下を小走りで歩いている所に遭遇。


「秀悟じゃあねーー」


またまた私が手を振ると、秀悟もニコッと笑ってくれた。


「世那、じゃあな。車に気をつけろよ」


「――――なんかさぁ、剣君最近、雰囲気変わったよね」


クツを履き替え、校門から出ようとした時、はよがポツリと呟いた。


私の左隣を歩いていた静帆も、うんうんと頷く。
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