溺愛†マドンナ
そう言って、スタスタと扉まで歩いて行く秀悟。


「帰ろう、世那。遅くなっちまったから、家まで送るよ」


まるで木みたいに直立して動けない私の方に手招きし、私が自分の傍に来るのを待っていた。


だけど私は、本当に根っこが生えたかの様に、呆然と佇むだけ。


「私に……好きな人がいる……恋愛としての好きな人………」


うわ言の如く呟いている私を見て、イケメン幼なじみは深いため息を溢していたのだった。


「こりゃあ、アイツもオレと同じ位大変だな…………」


私にとっての恋愛の好きな人って……


誰――――…!?
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