溺愛†マドンナ
「ムリヤリなんてするかよ。世那が嫌がる事はしたくないし」


ポツリと……言葉が今視界に映っている美術室の床に吸い込まれて行った。


再び、束の間の静穏が美術室内を包む。


「ねぇ立置君………本当に世那の事、いいの……?ずっと好きだったんでしょう……?」


遠慮がちに聞いてきた鎌松は、今まで見た事が無い位オレに対して一線を引いている様に見えた。


萩里も同じで、さっきからチラチラとしか視線が合わない。


オレはフーーーッと息を肺の空気が空っぽになるまで吐き出して、机から飛び降りた。


タンッと小さく音が鳴る。
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