溺愛†マドンナ
ジンジン痛む拳をジッと見つめていると、後ろから女の声とこちらに向かって来る足音。


ゆっくりと振り返ると、世那がオレのすぐ後ろで立ち止まった。


な……んで、いるんだよ………


お前はもう、立置のものなんだろう……?


なのにどうして……


「ハァ…ハァ……―――!!剣君、待ってよ!!」


前を向き直し、再び歩き出したオレの腕を、世那が慌てて掴む。


チラッと横目で見てみると、相当走ったのか、顔は赤くなり息は切れていた。


オレは無言で世那に掴まれた腕を振り払う。


「ちょっ……剣君!!話聞いてよっ!!」
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