溺愛†マドンナ
そう言って、剣君がゆっくりと右手を上げる。


その大きな手は私の頭に触れようとしたけど、後10cm程の距離で阻止された。




「―――世那に近づかないでくれるかな?剣君」




剣君の右手の動きを止めていたのは、私が剣君・緋ノ戸君・柿出君と会話し始めてからずっと黙っていた秀悟。


秀悟は左手の手首で剣君の右手を止め、怖い目で剣君を睨みつけていた。


「ああ゛?お前確か立置……」


「2年A組、立置 秀悟。オレの幼なじみに気安く触ろうとしないでくれるかな?」


秀悟の声も目と同様鋭さを帯びていて、私は驚いた。
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