ふりむきもしないキミ
屋上に続くドアを開け、力なく座った。
「うっ……あぁ…ぁ…ヒック…」
つぎから次へと溢れてくる涙を袖で拭う。
誰かがキミに聞いてるのを、たまたま見てしまったんだ。
机に忘れた教科書をとりに教室に戻ったときに聞いてしまったんだ。
『ヒカルって緋城のこと好きなん?』
『ハァ?どうしてそうなんだよ』
『だって、よく緋城に意地悪てか、チョッカイ出してんじゃん?だから好きなのかなーって』
何て答えるんだろうってわくわくしてたわたしがいたんだ。
もしかしたら、“好き”って言ってもらえると期待して。
『バカじゃねーの。だれが、あんなブス相手にするかよ。てか、俺あいつんこと
消したいくらい嫌いだから』
もうキミの言葉に期待するのは止めようって、その時に誓ったんだ。
わたしが傷つくだけだから。