揺れて恋は美しく
オヤジン寮の前で透け透けワンピースのママが新聞を広げ、広間ではレイコとルカ。それと、中肉中背の正統派中年親父感満載の男がパソコンを操作していた。
「どう? トンちゃん」
「あったー」
一同がパソコンを操作するトンちゃんの元へと集まる。
「こうして見ると、誰も怪我なく済んだのも奇跡ね」
「マジですげぇなこりゃ」
昨夜のステージの様子が映されたパソコンの映像を、まじまじと見詰め項垂れるレイコとルカ。そこへママが新聞片手に広間へと入って来る。
「新聞にも載ってるわよ」
「見せて」
ママがテーブルの上に持っていた新聞を広げる。そこには崩壊したステージの写真が載っていた。
「まさかねぇ、こんな事になるなんてね…」
「美沙も悔しいだろうな。あんなに練習したのに」
「そういえば、美沙は?」
「美沙ちゃんならお出かけよ。例のあの子に会うんだって」
「えっ? あの子って?」
「美沙に告白した子」
「えぇぇっ!!」
ルカは慌てて広間から出て行こうとするが、レイコに腕を掴まれて止められてしまう。
「どこ行くの?」
「離せレイコ! 美沙が危ない!」
「危ないのはアンタの方よ」
「大丈夫よルカちゃん。美沙ももう大人なんだから」
ルカはレイコの手を振りほどき、勢いそのままに両手をテーブルに叩き付けた。
「アンタら何時からそんな薄情物になっちまったんだ? ええ!」
馴れたように呆れ顔で聞き流すママとレイコだが、トンちゃんだけは身体を震わせて怯えていた。
「あのねルカちゃん。美沙ちゃんは自分から会う約束をしたの」
「自分から?」
「あの子は女として一つ殻を破ろうとしてるのよ。だから、邪魔しちゃ駄目なの」
「あの美沙が…」
「ちょっと待ってママ」
「なに? レイコちゃん」
「それって、もしかして…。今日返事をするって事?」
「そうよ」
それを聞いた瞬間にレイコの表情が険しくなり、かと思うと突然に立ち上がりルカに向かってニコッと微笑みながら言った。
「行くよ」
「よし! 行こう!」
「ちょ、ちょっとアンタ達!」
「可愛い妹の行く末を見届けてやるのは姉の務めでしょ?」
「にやけ顔で言われてもねぇ…」
そしてレイコとルカの二人は広間を飛び出して行った。
「もぅ。仲が良いんだか悪いんだか」
「あたいも行こっかなぁ…」
そう言って立ち上がろうとするトンちゃんをママが鋭く睨み付ける。
「アンタは駄目」
「なんでよー?」
「トンちゃんには、頼みたい事があるのよ」
「あたいに?」
ママはいつになく真剣な表情をしており、臆病なトンちゃんは息を飲んで腰を下ろした。
「どう? トンちゃん」
「あったー」
一同がパソコンを操作するトンちゃんの元へと集まる。
「こうして見ると、誰も怪我なく済んだのも奇跡ね」
「マジですげぇなこりゃ」
昨夜のステージの様子が映されたパソコンの映像を、まじまじと見詰め項垂れるレイコとルカ。そこへママが新聞片手に広間へと入って来る。
「新聞にも載ってるわよ」
「見せて」
ママがテーブルの上に持っていた新聞を広げる。そこには崩壊したステージの写真が載っていた。
「まさかねぇ、こんな事になるなんてね…」
「美沙も悔しいだろうな。あんなに練習したのに」
「そういえば、美沙は?」
「美沙ちゃんならお出かけよ。例のあの子に会うんだって」
「えっ? あの子って?」
「美沙に告白した子」
「えぇぇっ!!」
ルカは慌てて広間から出て行こうとするが、レイコに腕を掴まれて止められてしまう。
「どこ行くの?」
「離せレイコ! 美沙が危ない!」
「危ないのはアンタの方よ」
「大丈夫よルカちゃん。美沙ももう大人なんだから」
ルカはレイコの手を振りほどき、勢いそのままに両手をテーブルに叩き付けた。
「アンタら何時からそんな薄情物になっちまったんだ? ええ!」
馴れたように呆れ顔で聞き流すママとレイコだが、トンちゃんだけは身体を震わせて怯えていた。
「あのねルカちゃん。美沙ちゃんは自分から会う約束をしたの」
「自分から?」
「あの子は女として一つ殻を破ろうとしてるのよ。だから、邪魔しちゃ駄目なの」
「あの美沙が…」
「ちょっと待ってママ」
「なに? レイコちゃん」
「それって、もしかして…。今日返事をするって事?」
「そうよ」
それを聞いた瞬間にレイコの表情が険しくなり、かと思うと突然に立ち上がりルカに向かってニコッと微笑みながら言った。
「行くよ」
「よし! 行こう!」
「ちょ、ちょっとアンタ達!」
「可愛い妹の行く末を見届けてやるのは姉の務めでしょ?」
「にやけ顔で言われてもねぇ…」
そしてレイコとルカの二人は広間を飛び出して行った。
「もぅ。仲が良いんだか悪いんだか」
「あたいも行こっかなぁ…」
そう言って立ち上がろうとするトンちゃんをママが鋭く睨み付ける。
「アンタは駄目」
「なんでよー?」
「トンちゃんには、頼みたい事があるのよ」
「あたいに?」
ママはいつになく真剣な表情をしており、臆病なトンちゃんは息を飲んで腰を下ろした。