キミの翼が羽ばたく時。
チチチチ……
小鳥の囀りが優しく鼓膜を震わせる。
鼻孔をくすぐる春の香。
「…く………しずく!」
誰かの呼ぶ声。
「ん……んン…クマさん~~」
私はそう言うと、近くにあったクマさんを抱きしめた。
「うわぁ!」
それと同時に叫ぶ声。


「ん……?」
目をゆっくりと開けると、そこには私に思いっきり抱きつかれているお兄ちゃんがいた。
「おっお兄ちゃん!?変態っ何布団にはいってきてるのよぉ!」
私がパカパカとお兄ちゃんを叩く。

「いてっ痛いって!雫が俺に抱きついてきたんだろ!」
お兄ちゃんが必死に抵抗して暴れる。
「あ……え!?ご~め~ん、クマさんまだダンボールの中なんだったぁ!」
「おいおい、人騒がせだなぁ。」
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