色を持たない姫君
~プロローグ~〈囚われの姫君〉
少々肌寒い静かな静かな狭い場所。
1人横たわる少女の周りは物音一つせず声もしない。
たまに入ってくる風に散らばった本のページがめくられる。
風の音と本の音があたりに響き渡る。
そんな場所に1人の少年がやってきた。
『暁 くろす。
お前の付き人だ。』
それだけ言うと低く響く声の髭の生えた中年男性は去って行った。
残されたのは、少年少女2人のみ。