【BL】幼なじみは、ずるい奴。


「…何でだよ?」
「は?」


意味の分からない呟きに瞼を開く。


目の前には少し顔を歪ませた翼がいた。



「は?ちょっ、何泣きそうになってんだよ?」



俺は動揺を隠せずに、上半身を起こす。


翼の腕も一緒に掴んで、ベッドの上に座らせた。



「もう陽生、意味わかんねー。」
「意味わかんねーのお前だから。何泣きそうな顔してんの。」


どう考えても泣きそうだったのは俺だろ。



「だって陽生、全然手ぇ出してこねーし。」
「………はい?」
「今だってずっと背中向けるしさ。そんなに俺って魅力ねーか?」



………ついに幻聴まで聴くようになったか?

もしくは都合のいい夢?



「悪いんだけどさ、日本語喋ってくんね?」
「ちゃんと日本語喋ってるっての。」
「じゃあ何、お前は俺に襲われたかったの?」
「だって陽生、俺のこと好きじゃん。こんだけ一緒にいんだから、そんぐらい分かる。」



あー……

ほんと何コイツ。



「つまりそれは翼も俺のこと好きなの?」
「……そんぐらい言わなくても分かんだろ。」



そんなこと顔を赤らめて言われたら、理性保てって方が無理だろ?



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