初恋*
公園が見えると、いつものベンチに二つの人影。
走ることなんて、あんまりないから
全力疾走した膝が笑ってる。
「か、かなたー!」
あたしの声は震えていた。
そして、少し小さかったかもしれない。
それなのに、奏多は気付いてくれた。
後ろを振り返って、あたしを見つけた時に、思いっきり笑ってくれたその笑顔を
あたしは一生忘れない。
公園に入ると、はぁはぁと息があがる。
息を整えるのに時間がかかる。
「はぁ、はぁ…」
「ハナコ、お前大丈夫かよ」
「だ、だいじょう…はぁ。…ぶ」
汗で乱れた前髪をサッと直して
奏多より前に沙希を見た。
沙希は、複雑そうな顔で微笑んだ。
きっと、あたしが何を言いたいのか
分かっているんだろうーー