初恋*
「あたし、奏多に話しがあるの」
驚いた表情の奏多。でも、それは一瞬で。
すぐいつもの奏多に戻った。
「あたし…」
心臓が口から出てきそう。
「あたし!奏多が…奏多が好きなの!」
もう、奏多の顔を見る余裕はなかった。
「なんで、沙希が好きなんてあたしに言ったのよ!
ほんと、デリカシーのない男!
あたしの態度見てたら、アンタが好きだって分かるでしょうに!」
こんな時まで、憎まれ口しか叩けない自分。
…ほんと死んでもこの性格は治らないと思う。
「鈍感男っ!」
一瞬見えた奏多の顔が笑ってた。
「ほら、思いっきり振りなさいよ!」
涙が出ると思ったのに案外出ない自分に驚いた。
奏多は、もう我慢出来ないと、
お腹を抱えて大爆笑してしまった。
ーーあぁ。またやっちゃったかも。
ほんとこの性格…この口から産まれたようなあたしを恨むわ。