初恋*
叫びすぎて喉が痛い。
もう、ここが地元だってことをすっかり忘れていて。
その辺を歩いてる人がみんな知り合いに見える。
「はぁ。奏多がいきなり叫ぶから、みんなに見られてたじゃん。超恥ずかしいんだけど」
「はぁ?お前だって叫んでたろーが」
「アンタが叫ぶからじゃない!」
ギャーギャー言い合うあたしたちの間には、全く蟠り(わだかまり)がないから
少し安心した。
「あ、沙希。ごめんね。沙希の彼氏に告白したりして」
ううん。と微笑む沙希は、やっぱりケーキみたいに柔らかかった。
「あー!すっきりした。じゃあね。あたしこれからカラオケなんだー」
バイバイ。と、手を振って
すぐに前を見て歩き出したから、
2人がどんな表情をしてるかなんて分からないけれど。
うん。良いんだ。
イチャついてろ、バカップル。