俺は甘ツン野郎

「 ちょっと~ 私バスケ出来ないよ~ 」

「 やれ!」

「 そうそう!佐々木も参加でやろうぜ 」

ルールも特にナシで、ただ 部でやっている時のように無心に、時に楽しんでボールを追い、奪い、リングに入れるために走る。

今は綾女がいて、パスしてもポロリと落としてしまう。それでも必死に取ろうとして俺からのパスを受けては返し、恵太や拓真に取られたり…

綾女を送って行く前のちょっとした遊びがやけに楽しくて夢中になった。

遊び疲れてゴール下に四人で座り込む。

「 私、飲み物買ってくるよ、待っててね!」

「 行くな、綾女はいい。恵太買ってこいよ、な?」

俺が恵太に言うと、なんで俺がと不満顔に、俺は目を見開いて眉間をグッと寄せた。
はいはい、と半笑いで自販機に拓真を連れて行った。

「 私が行けば良かったね… 」

お人好しめ。二人になりたいから恵太に行かせたんだろうが!

「 いいって。綾女、お前 やっぱり、見事な運動オンチだなぁ 」

「 あ、ひどい!これでも上手にできた方だもん。憂里たちはバスケ部なんだから出来て当たり前でしょ~ 」

プリプリ怒り口調で言う膨れっ面の綾女を見ていると、こうして今 俺のとなりにいてくれる事に感謝したい。

県大会で優勝を目前にして負けてしまった時、俺は本当に落ち込んだ。






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