俺は甘ツン野郎
電話の相手は、同じくクラスの奴で家が近所の 倉持 恵太。
綾女との二人っきりのイチャつく時間を邪魔されたくない俺は悶々としていた。
きっと来るときは恵太一人ではないとわかっているだけに、ムッとしてテレビを睨んでいた。
「 憂里、出来たよ~ 綾女のスペシャルチーズカレー! 」
「 はいはい、ただのレトルトカレーとチーズインね。ごくろうさん!」
「 態度わっる… おいしーから!だってさぁ…… 」
ん? だって、なんだよ?
「 ねぇ憂里… えへへ、照れるね、こういうの。」
「 いや。」
何となく、俺でも何となくわかる気はするんだ。
エプロンで浮かれるくらいだから、きっと…
「 綾女の愛が入ってんの?」
俺が言うと、綾女は可愛い顔を真っ赤にして笑ってごまかそうとしているから、図星に違いない。
ただ俺を前にしては口には出せなかっただけ。
言えばいいのに… バカだなぁ
テーブルに並べた綾女の言うスペシャルチーズカレーとサラダ。
お袋の出すようなカレーとはまた違う雰囲気で俺も少し照れるが、当たり前に大股広げてカレーにがっつく。
「 ウマイッ!さすがレトルト!」
「 私が作ったんだよ?あっためただけだけどさ~ ね、一口ちょうだい?」
「 辛口をか?お子ちゃまの綾女には無理。やめとけ。」
ぶっと不細工な顔をして、甘口カレーをバクバクと食べる綾女。
単純だな… そう思う。
そこがまた綾女の可愛いところ。