俺は甘ツン野郎
バクバク食べるのはいいが、息継ぎを忘れるように口にカレーを放り込むものだから、綾女の口角ににはカレーがはみ出してついている。
だから お子ちゃまだっての…
「 綾女、ついてるぞ 」
ん、どこ?と口を拭う綾女の指を掴まえた。
「 …憂里?」
そのまま動くなよ… そう願いながら体を椅子から浮かして綾女の指を口に含んでカレーを舌で絡めとり、俺は綾女の真っ赤な顔を見上げるように見つめていた。
チュッと微かな音を立てて指を解放してやる。
綾女は当然 硬直していたが、また、なんとも戸惑いと照れとが入り交じった顔をしていた。
「 憂… そういうの恥ずかしいからっ」
「 だから?じゃ、俺の指ペロッとしてみるか?」
「 い、いい!いいから、いいです!」
ふぅん。つまんねぇの。
ピンポーン。インターフォンが鳴った。
綾女がビクッとなり俺を見る。
「 もしかして… 親が帰ってきたとか?」
「 まさか。アイツだ… 」
来た、やっぱり…
「 アイツ?誰… 」
綾女が俺の背中にピタリとスリ寄って服の裾を摘まんでいる。
それ、いいな…可愛い奴。
玄関に行き開けると思った通り恵太だった。恵太の後からは早瀬 拓真も一緒にいた。
拓真も同じクラスでよくつるんでいる奴だ。