俺は甘ツン野郎
来たぞ!と、恵太と拓真が上がろうとして、足を止めて驚いている。
俺の後ろから綾女が顔を出したからだ。
「 え、佐々木じゃん!来てたんだ 」
「 へぇ憂里 やらしっ」
ああ、めんどい… 説明もいらねぇし。
「 学校終わってから来たの。ちょっとお手伝いに 」
それは間違いないな、うん。
「 あ、そっか!憂里んち旅行行ったんだよな? 」
「 恵太、なんで知ってんだよ 」
「 おっ母だよ、他にあるか?」
そうだ、俺一人になるから恵太ん家には連絡してるよな… 迂闊だった…
どうせ帰れって言っても無駄だな。
そう思っているそばから恵太と拓真が勝手に上がってリビングに行く。
俺は綾女の頭をポンッと軽く置くようにして心配するなと笑みを見せる。
綾女も同じように笑みを見せて、腰にギュウッと抱きついてきた。
う、わ!ちょ… いきなり!?反則っ
「 こらっ!」
綾女は上目でニヘラ笑いをしている。
まったく可愛すぎ…
俺だって照れるさ、だけど 顔に出したら綾女が俺の弱味だと思って悪さしかねないんだ。
「 綾女、片付けといて 」
「 うん 」
食器の片付けを綾女一人に任せ、俺は恵太と拓真と並んでソファに座る。
ああ、遺跡ドキュメンタリー見れねぇじゃん…
無表情のつもりが、ムッとしていると感じた恵太がニヤついて俺の顔を見る。