僕だけの窓口女子
「ねえ、好きな人っているの?」


突然話題を振られ、目をギョッとさせる。


「な、何だよ、いきなり・・・」


「何となく、気になっちゃって」


無邪気な笑顔で話すがこっちは心臓がバクバクと音を立てていて背中に嫌な汗が流れ出す。


「い、いねぇよ、そんな奴」


「そうなんだ」


意外とケロッとした返事に拍子抜けしてしまう。


「・・・いた方がいいんか」


「うんうん。それはそれで嫌だ」


意地悪な質問を返すと千歳は首を左右に振った。


「私さ、病気持ちだから学校通えないでいるじゃない。だからすごく憧れてるんだ、恋愛って」


「ふーん」


「ふーんって、ひどいなぁ。人が真剣な話してるのに」


「だって女子ってやたらとそういう話してくるからもう聞き飽きてんだよ。愛だの恋だの何がいいんだよ」


例えば、唇を重ねる行為なんて想像するだけで反吐が出てしまう。


「・・・君ってひょっとして、結構ウブ?」


「う、うるせぇっ」


プイッと顔を背く。

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