僕だけの窓口女子
自室に入り、スポーツバッグを置く。
どっかりとベッドに腰を下ろす。


「ねえ、もしかしてもう帰ってる?」


窓の向こうで明るい声が聞こえてくる。
千歳が笑顔を送っていた。


「やっぱり!さっき向かいの窓から歩いてくるのが見えたから。今日はいつもよりも早いね。試合、近いんでしょ?」


「・・・無しになった」


「え?」


「足怪我したんだよ」


証拠を見せるように包帯で固められた足を窓縁に置く。


「そうだったんだ・・・。でも、またチャンスがあるよ」


千歳が懸命に言葉を選んで発する。


「レギュラーに選ばれた俺のことを快く思ってない奴が仕掛けてきたんだ」


衝撃発言に千歳は言葉を失う。


「やっぱ俺、辞めるべきなんだろうな」


「そ、そんなことないよ!今まで頑張ってきたじゃない。それに、そういうのは君のことただ妬んでるだけだし」


「お前に俺の何が分かるんだよっ!!」


僕は勢いよくロールカーテンを引っ張り、千歳を遮断させた。
ベッドに潜り込み、声を押し殺して泣く。


悔しくて、たまらなかった。
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