僕だけの窓口女子
「いちいちうるせぇんだよ、ったく」


どしっとベッドの上で胡坐を掻く。

するとその時、換気のために少し開けておいた窓から笑い声が聞こえてくる。


腰を曲げて振り返ると隣のアパートの二階の一室の窓から顔を出した女の子が口を押さえて笑っていた。


「…笑うんじゃねぇよ」


「ごめん、なんか可笑しくて。またお母さんと喧嘩?」


「別に。いつものように部活もいいけど勉強もしろっていう会話」


「大変そうだね、部活。バスケ部だっけ?」


「ああ」


「じゃあ、ダンクとか出来る!?」


「馬鹿。身長が足りねぇよ」


女の子はちぇっと口を尖らす。
窓のサッシに肘を置き、頬杖をつく。


「でも、いいなぁ…。そんな風にお母さんと会話出来て」


僕は何も言えなくなってしまった。
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