大切な人へ




「あなたは内気で本ばかり読んで歌声はとてもきれいなのに
歌わない。静かで優しいけど国のためには社交性も必要なのよ?
恋でもしたら少しは身につくことでしょう。」



母様は、私とはまったく正反対の性格。
明るく社交的でいつも笑顔で正直に思ったことを話す。

私は、社交的じゃないし思ってもうまく伝えられない。
きっと父様に似たのね。



ため息をつきながら髪を梳かしてもらう。
今夜は出発前の最後の晩餐パーティーだ。



長い明るいハニーブラウンの髪は
腰まで伸び緩やかにカールしている。


鏡に映る自分の顔を見つめる。



少し幼さの残る卵型の輪郭に海の蒼さを吸い込んだような
ブルーの瞳、海の世界に入り込むお日様の日差しを無視して
部屋で本を読んでたせいで日焼けするどころか
肌まで海の蒼さを吸い込んだみたいに真っ白。
淡いピンクの頬とぽてっとした唇。



こんなんじゃきっと人間の世界でも馴染めないわね。



見た目も性格も。




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