旅人の詩
「花の国からの出国」
酔いもさめたサラリスは、老人にあいさつするなり宿屋へと戻る道へ向かった。
町の人々とすれ違う度、思わずその姿を凝視してしまう。
指が小枝になっている青年。
白い肌に見えたそれは白木の皮膚だった女性。
地面に根付いた老人達。
今まで見ていたようで、良くみていなかった。
そのどれもが人のそれとはあり得ない。
サラリスは段々と速度を上げながら歩き続け、宿屋に着く頃には駆け足になってしまっていた。
「おいっ、おい大丈夫かっ?体は何ともないか?」
馬屋で寝ていた巨鳥を叩き起こし、その頭に芽でも飛び出していないか隅々まで確認したが、幸い何も見当たらなかった。
巨鳥は不機嫌にくしゃみをすると大きく伸びをし、その姿に安心するとサラリスは宿屋のカウンターへと急いだ。