旅人の詩
「おやサラリスさん、随分と慌てているじゃないか。どうかしたのかい?」
宿屋の主人が驚いた顔でこちらを見てくるが、サラリスは彼をまじまじと見てしまう自分を想像して嫌気がさし、俯きがちにカウンターへと近付いた。
「あ、ああ。今日で発つ予定でね。次の町のこともあるし、すぐに出ようかと」
「そう、かぁ。うんうん、ならすぐに精算しだすから、サラリスさんは荷を持ってくるといいよ」
「ああ」
小さく頷き部屋で荷をまとめ終わりカウンターに戻ると、宿屋の主人がにこりと笑いかける。