旅人の詩
「うん?うーん……考えたことねぇなぁ。だってよ、こんな旨いもんそうそう無いんだぞ?」
そう言って男は、手にベットリ付いたピーナッツクリームを、ベロリと舐め回したのだった。
「うげ」
その様子に目を背けながら、サラリスは逃げ出すように店を出た。
「ふう、外のほうがまだましだ。はぁー……早く出国したい」
ため息と共に、サラリスはポケットから入出国手帳を取り出した。
入国期間の希望日程は一週間。
只今その一日目。
入国時に、一週間分の入国滞在金さえ払っていなければ、こんな国からとっとと逃げ出しているのに。