旅人の詩





「うん?うーん……考えたことねぇなぁ。だってよ、こんな旨いもんそうそう無いんだぞ?」





そう言って男は、手にベットリ付いたピーナッツクリームを、ベロリと舐め回したのだった。





「うげ」





その様子に目を背けながら、サラリスは逃げ出すように店を出た。





「ふう、外のほうがまだましだ。はぁー……早く出国したい」





ため息と共に、サラリスはポケットから入出国手帳を取り出した。





入国期間の希望日程は一週間。





只今その一日目。





入国時に、一週間分の入国滞在金さえ払っていなければ、こんな国からとっとと逃げ出しているのに。






< 35 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop