旅人の詩
「あ、甘いものはって……この国にはピーナッツバターの甘い料理しかないじゃないか」
たまらずそう言うと、奥から先程の男がひょっこりと顔を出して、小さく肩を竦めて見せた。
「おかげで、商売繁盛さ」
「おいおい……」
「はははっ、冗談だよ。そうか、君は国外の人か。なら、城壁地区に行ってごらんよ。あそこは旅の商人の逃げ場って言われてる」
「……逃げ場?」
「あぁ、この国に馴染めない人等が集まった地区みたいなものかな。あそこなら、ピーナッツバター料理以外にも何かあるはずだよ」