旅人の詩





「あ、甘いものはって……この国にはピーナッツバターの甘い料理しかないじゃないか」





たまらずそう言うと、奥から先程の男がひょっこりと顔を出して、小さく肩を竦めて見せた。





「おかげで、商売繁盛さ」





「おいおい……」





「はははっ、冗談だよ。そうか、君は国外の人か。なら、城壁地区に行ってごらんよ。あそこは旅の商人の逃げ場って言われてる」





「……逃げ場?」





「あぁ、この国に馴染めない人等が集まった地区みたいなものかな。あそこなら、ピーナッツバター料理以外にも何かあるはずだよ」




< 51 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop