旅人の詩
ボヤきながらも荷物内のポケットから小さな赤い紙を取り出すと、床にそれを置き、さらにその上に缶詰の肉を乗せたパンを置く。
「小さな火よ」
サラリスがぼそりと声を出すと、赤い紙はキラッと光り熱を持つ。
そして光り輝く小さな火が上に乗るパンと肉に覆い被さりながら、見る間にカリカリと焼き上げてゆく。
ジュゥーー
室内はトーストの香ばしい香りと、肉の焼ける何とも言えない香りで満たされたのだった。
「よし」
サラリスは使いきった赤い紙をサッと水瓶に落とし入れると、出来上がったサンドイッチにかぶりついた。