DUNK!
あぁ、真っ白い天井だ…保健室か。
「小谷さんっ大丈夫っ!?」
「!?」
突然目の前に現れた至近距離のイケメンに驚いて飛び起きる。そしてふらついて、再びベッドに倒れる。
「私…倒れたのか。…っえ、御山くん怪我はっ!?」
「俺は大丈夫」
「ちょっと痣が出来た程度で部活にも支障はないわ」
ひょっこり現れた保健の先生が言えば、彼はにっこり笑って右腕をぐるぐる回す。
「小谷さんは睡眠不足。今、園田さんが荷物を持ちに行ってるから暫く寝てなさい」
呆れ顔の先生は用事のために部屋を出ていった。家への連絡は既に済んでいるらしい。
時計を見れば6時少し前。
「御山くん部活…」
「今日は念のため休めって。それより急に倒れたからビックリしたよ」
「ごめん…ずっと傍にいてくれたんだ…有難う。何だか助けてもらってばかりだね…」
「体が勝手に動くんだ。守んなきゃって…小谷さん、だからかな」
「え、」
ふわりと笑う姿に顔が赤くなるのが分かる。
やめて、そんな言い方、期待しちゃう。昨夜の千華の言葉が脳裏をよぎる。
「…小谷さん、俺」
ガラガラガラッ。
「「…!!??」」
跳ね上がった、驚きで、二人していろいろ飛び出そうになった。
「あ、千代起きたっ、もう心配したんだからねっ」
「…千華、」
二人分の荷物を置くと、私の顔を見てホッと息を吐くと言った。少しは血色良くなったみたい、と。それは寝たからじゃないよ、とは言えなかった。
「三人とも帰って良いわよ、お大事にね。小谷さんはよく寝ること!」
戻って来た先生にお叱りを受けつつ保健室を後にする。私と御山くんは体操服のまま下駄箱へ。
彼の下駄箱には今日も手紙が溢れていた。苦笑いしつつ自分の下駄箱を開ける。
28センチと22センチのローファーが並ぶ。千華は気を使ってくれたのか離れてローファーを置いた。
雨はまだ降っている。さてどうしようかと思っていると、千華がにこっと笑った。
「二人とも直ちゃんに送らせるから問題ないよっ」
本当に姉のようで頼りになる。
「直ちゃん来るまでにトイレ行っとくわ」
ではごゆっくり~と言う彼女の目がニヤニヤしていた。…頼りになると思ったらこれだ。
二人きりになって、赤くなった顔を隠すように無意味に鞄をあける。
「あ…」
そこには存在を忘れかけていた物が入っていた。