DUNK!
空が明るい。朝だ。
あぁ…昨夜から一睡もしてない。出来なかった。
昨夜、千華があんなこと言うから!
『たぶんそれって、ショックだったんじゃなくて、安堵したんじゃない?』
「へ?」
『だって、アタシだって御山くんと接点はないし、聞く限りアタシより千代のこと気にしてるみたいだもん』
「…………は?」
『直ちゃんと千代が仲良いって思ってたから、アタシと付き合ってるって知って安心したんだって。てか直ちゃんが学校来た時、アタシと千代、どっちと話しすることが多い?』
「…千華」
『そうでしょ?しかもアタシだってそんなに話してないし…それで千代と直ちゃんが仲良いって思うってことは、千代を見てたのよ』
すらすらと言葉を紡ぐ彼女の話しを追いかけるのもままならない。思考が追い付かないけど、必死に理解しようと試みた結果。
「千華、探偵みたい」
そんな言葉しか出てこなかった。
電話の向こう側で呆れたような溜め息が聞こえた。そして、千代は可愛いんだから大丈夫。なんて優しい声で言ってくれて、涙が出そうになる。
さっきまで嫉妬してたのに…ごめんね。
「有難う…千華」
『どういたしまして。まぁイケメン御山くんも人間だもの、恋したっておかしくないよ』
私もそう思う。思ったから、その相手は千華だと思ったのに、まさか、そんなまさか。
『あ、直ちゃんが立ち読みするフリしてこっちガン見してるからそろそろ切るね』
「うん有難う…また明日ね」
そしておやすみっていったはずなのに、全然おやすめてないっ!
昨夜、電話を終えた後、かろうじてシャワーとトイレだけは済ませて、それからずっとベッドの上ではもだもだしてた気がする。
それよりも支度しなくちゃ。ぼんやりする頭をなんとか動かして着替える。
朝食もそこそこに家を出る私を母が心配したけど、大丈夫と返すのが精一杯だった。