信愛
1軒の小さなスナックに入った。

50代くらいのママが1人で切り盛りしてる。

凌君は何度が来たことがあるみたいだ。

あたしたちは、腰の高さまである壁に囲まれたボックス席に座った。

ママからはボックス席の中は良く見えない。

凌君はあたしの隣に座った。

ママが「勝手にやってね」と水割りセットをおいていった。

里緒菜「凌君、水割りでいいの?烏龍割りにす    る?」

凌「烏龍割りでいいよ。」

あたしは、ぎこちない手つきでドリンクを作り凌君に渡した。

凌「ありがとう」

って、凌君が微笑んだ、

(あー、だめ!まぢ、その笑顔好きかも!)

烏龍割りを1口飲んで凌君があたしの肩に手を回した。

(え?なに?なに?)

凌「俺、お前のこと好きだ。」

と言ったと思ったら、あたしにキスしようと唇を近づけてきた。

里緒菜「だ、だ、だめだよ!?」

あたしは、両手で凌君の身体を離そうとした。

そして、思い出したんだ。

まだ、既婚者で、旦那も子供もいること。

まっさらな凌君と今のあたしは恋愛できない。

不倫なんて駄目だよ…。

里緒菜「あたし、まだ旦那もいるし、子供だっ    ているし…だから、ね?駄目だよ。

凌「おまえ、俺のこと嫌いなのか?」

里緒菜「嫌いじゃないよ。」

凌「なら、いい…」

里緒菜「だけど、あたし旦那もいる人妻だ      よ。凌君はバツイチなんだから、もっ    と、なんのしがらみの無い子がいるで    しょ。」

凌「いい…俺はお前がいい。」

里緒菜「駄目だよ。凌君こんな面倒くさい人妻    と恋愛してる場合じゃないでしょ。も    う、34歳なんだし…」

あたし…凌君じゃなくて、自分を説得しようとしてたのかもしれない。

これ以上凌君を好きになったら駄目って…

一線を超えちゃいけないって…

この時、あたしが凌君をつらい立場にしちゃうんじゃないかって、真剣に考えてた。

凌君の本当の姿も知らずに…




結局、凌君の押しに負けてあたしは凌君と静かに唇を重ねた。

暖かく優しいキス…

忘れてた…こんな胸キュンな気持…

凌君が好き。あたし、凌君に恋しちゃったんだ…。

でも、これ以上は駄目。あたしは人妻。これ以上の関係は絶対に駄目…

いくら旦那と離婚するかもしれないといっても、あたしはまだ、既婚者。

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