信愛
『今日の夜、里緒菜なんか予定あったっ   け?』

『学校の友達と飲みに行く約束してるって、前 から話してたと思うんだけど。』

『え?そーだっけ?』

(もう、2週間も前から話してて、子守りお願いしてたじゃん…。)

『なんか、用事でも、出来たの?』

『いや、仕事早く終わりそうだから、遊びに行 こうかと。』

(また、パチンコか…早く帰れるなら、たまには家にいようと、思わないのかね?)

あたしは、半ばキレぎみでまた、返信した。

『え?りな、出かけてもいいわけ?』

『なに、りなって』

(あ、ヤバイ…)

返信打ってたら、旦那から電話がかかってきた。

旦那「おまえ、なんなの?」

里緒菜「え?なに?」

旦那「わざと、俺が嫌がることしてるわけ?」

里緒菜「はぁー。面倒くさいなぁ…」

旦那「なによ、その態度、おまえ、俺が嫌がる   こと、わかっててやってんのか?」

里緒菜「つぅか、もぅ、何年も前の話しだし、
    癖だからさぁ。疲れた…」

旦那「なによ、それ、わかった。話ししよう」

里緒菜「なに、話って?」

旦那「今から一回家に帰るわ」

里緒菜「はぁ?いいって…」

あたしの話も聞かずに旦那は一方的に電話を切った。

(ケンカかぁ…はぁー。疲れる…)

あたし、自分のことを"りな″と呼ぶ癖がある。

旦那はそれを凄く嫌っているのだ。

それは、あたしが10年前に浮気したから。

浮気相手があたしを"りな″と呼んでいたからなんだ…。
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