信愛
里緒菜「とし君、ごめんごめん」

とし君「おー、おつかれー」

待ち合せ時刻数分の遅刻で到着。

小上がりにテーブル二つ並べられて、セッティングされた席には、とし君ただひとり。

里緒菜「あれ?まだ、誰もきてないの?」

とし君「常連の田所さんね、まだ、仕事中で少    し遅れますだって。もう一人は、電話    しに行ってるわ。」

里緒菜「ふーん。そっかぁ…」

奥にとし君が座っているから、男3人並んで座ってもらうことにして、愛ちゃんは勿論、今夜の主役なので、とし君の迎えに座って頂こう。

里緒菜「愛ちゃん、とし君の向いね」

愛ちゃん「はーい」

里緒菜「あたしと茉莉ちゃんは適当に並んで座    ろっか。」

あたしは愛ちゃんの横に座った。その隣には茉莉ちゃん。

とし君「あいつ、電話長いね。なんか、仕事の    電話みたい。ごめんね。

とし君が気をつかっている。向かえに座った愛ちゃんにも話しかけている。

(あら?電話しに行ったひとって、さっき、お店の入り口にいた…ロン毛?!)

里緒菜「とし君…」

とし君に聞こうとした時に、あたしの後ろから男の声がした。

凌「あー、ごめんごめん。話し長くなっちゃっ  てさぁ。」

と、言いながら小上がりに上がり、あたしの目の前にその声の主は腰を降ろした。

(あ!やっぱり、さっきのロン毛!)

あたしの心の叫びと同時に、茉莉ちゃんが言った。

茉莉「さっき、入り口で電話してた?」

凌「そうそう。(君たち)入っていくの見えたか  ら、そうかなぁって、おもった。」

と、その男は笑みを浮かべながら言った。

ロン毛嫌いなあたしにとっては残念な話しだとこの時だけは、思っていた。
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