信愛
仕事で遅れる田所君はさておき、自己紹介が始まる。

とし君「おれね、としね」

とし君はかなりのハイテンションで、真っ先に口を開いた。

その後に続いてあたしが女の子を紹介する。

里緒菜「こっちが愛ちゃん、で、こっちは茉莉    ちゃん。」

愛ちゃんは軽く会釈。

茉莉「あたし、バツイチ、子1人いるから」

と、笑いながら話す。

とし君が隣のロン毛を指さして

とし君「これ、同級生の凌。」

と、ロン毛を紹介した。凌君はかなり、照れているのか少し、うつむき加減だけど、立膝して座ってるものだから、態度が大きくみえる。

(以外と、凌君照れ屋さんなんだ。あまり、しゃべらないしね。)

紹介が終わったかのように見えたところで茉莉ちゃんが

茉莉「生5つください! めっちゃ、飲みたく   て我慢してたんだよねー。」

と、勢い良く生ビールを注文した。

生ビールを待つ5人にしばしの沈黙。

突然沈黙な空気を変えたのは茉莉ちゃんの一言だった。

茉莉「この子ね、子供4人もいるんだから。み   えないよねー。」

と、あたしの肩を叩きながらケタケタ笑った。

里緒菜「ちょっと!茉莉ちゃん!!」

茉莉「あれ?里緒菜、もしかして今日は秘密    だったの?」

里緒菜「だから、指輪も外して来たのに~」

茉莉「あ、ごめんごめん。でも、ね?いっ     か?」

里緒菜「もう、いいよー。はいはい。まだ既婚    中です。まぁ、離婚予備軍だけどね」

と、あたしの自己紹介が思わぬ形で終った。

とし君も凌君もびっくりしてた。

よく、子供4人いるお母さんには見られないから。

今回の合コン、確かにあたしと茉莉ちゃんは愛ちゃんの保護者的な要員だった。

新しい恋愛なんて、期待していなかった。

でも、この日だけはお母さんでも奥さんでもなく、女性として飲みたかったのかもしれない。

凌「…え?!  まぢ、子供いるのか?」

凌君が1番驚いているみたい。

あたしの素性…バレちゃった。今日だけは秘密にしておきたかったのに…。
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