ケンカして、仲直りポッキー
11月7日 木曜日
「隆太君、帰ろ?」
冬も近付き、紅葉や楓が舞い落ちる秋終盤。授業終了のチャイムが鳴ると、クラスメートはぞろぞろと教室から出て行く。
「あ…、ごめん。今日、ちょっと用事があるんだ」
隆太君は、そう言うと。私の頭をなでて、切なく笑った。
「…そっか……」
付き合ってから今まで、一度も一緒に帰らなかった事が余り無かったから、ちょっと残念だな…。
「でも、11日、楽しみにしてて…」
「…11日?」
ほぇ?…私の誕生日は、3月だけど。でも、クリスマスでも、無さそうだな。
「うん。絶対、楽しい日にしてあげる」
「…うん!分かった!…じゃあ、楽しみにしてるね!…じゃあ、また明日ね!」
…正直、隆太君がいるだけで、私は毎日楽しいんだけどな……。
「うん。また明日」
私と、隆太君はお互いに手を振って別々に別れた。
「うーん…。暇になっちゃったな…」
…よし!久しぶりに、お菓子でも買って帰ろうかな!
「決まり!そうしよう!」
私は、スキップして廊下を渡る。
──この時の私は、まだあんな事が起きると知らずに。
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