ケンカして、仲直りポッキー
「隆太君、屋上行こ?」
私は、昨日買ったポッキーを手に持って、隆太君の席に向かった。
「……………、……うん」
私と隆太君は、無言の難しい空気のまま屋上へと向かった。
さっきのお昼休みの時と余り、寒さは変わっていなかった。
私は、隆太君が逃げないように、屋上の扉に背中を預けて立った。
「隆太君、ポッキー食べる?」
私は、ポッキーの袋を開けて隆太君に差し出す。隆太君は、ありがとうと、お礼を言って一本だけ取った。
「……い、いい天気だね」
「…雨降りそうだけど?」
隆太君が、空を指差す。
「………あ、本当だ」
あれ?朝、晴れていたのに……。
でも、まぁ…。失敗したー……。バカだー!私のバカー!
「で?話って?」
隆太君が、ポッキー一本を食べ終わってから口を開く。
「あ、あああ、あのね?…」
ど、どどど、どうしよう。…いざ、というときに、心臓が口から出てきそうな位ドキドキしてきた…。
「ん?」
若干、隆太君も、緊張してるように見えた。
「昨日…さ……。…どこに、用事行ったのかな…って、思って……」
「ん?昨日?………えっと、…おばあちゃんの家に行ったよ。用事で」
あ、嘘つかれた。嘘ついた。…隆太君が……、嘘ついた。ついた……。ついた───。
「……………くせに……」
「ん?なに?もう一回言って?聞こえなか…」
「昨日、可愛い女の子といたくせに……」
私の口からは、憎たらしい声が。…のどの奥から、出てきた。
「ぇ……え?」
隆太君が焦っている。やっぱり、やっぱり──。
「……浮気…。いや、…私で遊んでたんでしょ」
あぁ、なんて私は可愛くないのかな。憎たらしい。私なんか……。
隆太君の前から消えればいいのに……──。
「なに言ってんの?」
隆太君が、意味分からないって顔で私を見てきた。
「隆太君はさ、…昨日、デパートのアクセサリーショップで、可愛い女の子と一緒にいたよね?」
嫉妬で、可笑しくなった私の口は。誰にも止められない。もう、爆発していた。
言いたくないのに……。
「あ、あれは。僕の、いもう……」
「あはは…、言い訳はいいよ。…別に、隆太君が私に本気じゃなかったなんて…。とっくの前に分かってたし」
嫌だ…。なんで、こんな事言うの?なんで?こんな事……言いたくないよ。
「優未、ちょっと落ち着いて?」
「落ち着いて?…落ち着ける分け無いじゃん…。遊ばれていたのに、落ち着けって……」
どんどん、私が壊れていく…こわれて…いく。