女装男子VS男装女子。
「じゃあね、あっくん」

あたしは鞄を持つと、教室から出る。

「あ、待って桃」

「何?」

「桃ってどこに住んでるの」

「あた…俺?俺は男子寮だけど」

何言ってんの。あたし、男なんだよ?
当たり前じゃん。

「桃……女の子なのに男子寮に住んでモガッ」

「あ、あははは~何言ってんのかなあっくん?俺は男なんだから男子寮に住んでて当たり前だろ」

あっくんの口を塞ぎながら、あたしは辺りをキョロキョロ見回す。


幸い、あたしとあっくん以外人はいないようだった。


……あー、危なかった。



あたしは胸を撫で下ろす。


じとー…。

あっくんからの視線が痛い。
パッとあっくんの口を解放すると、

「……何桃、もしかして男装してること、他の人には隠してるわけ」



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