女装男子VS男装女子。
「や、やめろっ……やめて!いや、お願いしますやめてください!」
「そんなに嫌なのか?」
「そりゃあもう!超がつくほど嫌だよ!」
「ふ~ん、そか。じゃあ行くか」
「結局行くのかよ!じゃあ何で聞いたんだクソヤロー!!」
蓮はあたしなんかお構い無しにずんずん歩く。
「ちょ、マジやめて!お願いだから!あたしは
お化け屋敷が大っキライなんだよおぉぉぉっ!!!」
「へぇ?イイコト聞いた」
ニヤリと笑ったかと思うと、蓮は「二名で」と指を二本受け付けの人に見せる。
「二名ですね?はい、わかりました。
ーーー二名様、ご案内でーす!!」
受け付けの人は大声で店の中の人に言うと、「では、ごゆっくりどうぞ」と営業スマイルであたしたちを中へと入れた。
あたしはというと、ほぼ蓮に引きずられているような状態で、奥へ奥へと進む。
途中途中出てくるお化け役の人たちを見て、あたしはよくわからない悲鳴をあげながら蓮の腕にしがみつく。
バアッ!とお化け役の人があたしたちの前にどこからともなく出てきた。
「ーーーぎゃあーーーっ!!」
ギュウッ!
お化け役の人が出てくるたんびにあたしは悲鳴をあげ、そして蓮の腕にしがみついた。
「フハッ……そんなに怖いのか?」
「あ、あた、当たり前でしょ?!今さら何言ってんの!!?あたしに殺されたいわけ!?」
「いーや、まだ死にたくねぇし。あ、ほら天野、お化け」
蓮が指差す方向には確かにお化け役が。
「ぅぎゃあーーーーっ!!!」
ギュウウゥウ!!
「ククク……おもしれぇ……」
蓮は半泣き状態のあたしを見て、ニヤニヤしていた。
この女装変態ドチビ野郎ぉおお!!
お化け屋敷出たら覚えてろ!
「ひぎゃああぁぁあぁっ!!」
出てきたお化け役にまたもや悲鳴をあげながら、あたしは心の中で強く思った。
その後もあたしは悲鳴をあげまくり、お化け役の人にビビりまくり、蓮にイラッとし、しかも怖すぎてお化け役の人を殴るという驚愕のことをしながらも、あたしたちは無事にお化け屋敷から出ることができた。
「はあっ…はあっ…はあっ……し、死ぬかと思った……」