女装男子VS男装女子。

「そんなんで死なねぇよ」

蓮は何が楽しいのか、さっきからずっと笑っている。

「死ぬし。フツーに死ねるし。つか、何がそんなに楽しいワケ?」

「いやー、天野があそこまでビビりだとは思わなかったからさ」

そう言って、顔をクシャッとさせて笑う。


…ドキッ……


え?あれ?あれれ?

な、なにこの動悸……あたし、心臓おかしくなった?!

蓮の笑顔を見たとたん、なんか息苦しくなった気がするんだけど……

しかもなんか、ほっぺが熱い……?


「ん?どした、天野」

言い返してこないあたしを不思議に思ったのか、蓮があたしの顔を覗き込んでくる。

そのせいで、蓮の顔がドアップであたしの目に飛び込んできた。

「う、うわぁっっ!」

あたしは驚いてすぐさま蓮から離れる。

「? なんだよ」

「か、勝手に覗きこんでんじゃねぇ!この変態がっっ」

顔に熱が集中しているのがよくわかる。

「オレは変態じゃねえよ!全く……」

フンッと蓮がそっぽを向く。
蓮がそっぽを向いたことにより、少しだけ動悸が治まった気がした。

ふー、と息をつき胸を撫で下ろしていると、
またまた蓮のドアップが。

「ひっ、」

ボッ!!

「え?」

「ひぎゃああぁぁあぁっ!!」

ベッチーーーンッッ

素晴らしいほどにキレイな平手打ちが蓮に入って行った。

……手が、痛い。
ものすごく痛い。

でも、それよりも、顔が……
顔がっ!
なんでこんなに熱いの!!

お、おかしい……本当にどうしちゃったのあたし!



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