女装男子VS男装女子。
「はあ……これじゃあしばらく教室に戻れないじゃない………」
紅く染まった頬を隠すようにして触れながら、あたしはため息をつく。
「ほんと……あたし、どうしちゃったのかな……蓮の笑顔を見たとたん顔が紅くなるなんて、ほんと、どうかしてる……」
まだドキドキと治まることのない動悸が、何かを伝えようとしているようだった。
だけど、あたしはそれがなんなのか、よくわからなかった。
まだ、この動悸の理由は知ってはいけない気がして。
でも、結局あたしは見ないフリをしているだけだったのかもしれない。
それでもいいと。
今のあたしはそう思った。
「早く…頬の熱、冷めないかなぁ」
呑気にそんなことを呟きながら、
あたしは蓮とのゲームが、もうそろそろ終わりを迎えようとしているのに気づかなかった。