女装男子VS男装女子。
「なあ、」
「ゴメン今日は忙しいからあっくんと二人で食べて」
カバンの中からゴソゴソとお弁当を取り出すと、「じゃっ」と手を頭の横に挙げて教室から早足で出ていく。
「ちょーぉっと待った!」
ガシッと蓮に肩を掴まれる。
「なんだよ」
「天野さ、なんでオレを避けてんの?」
真剣な目で見詰めてくる蓮。
そんな蓮から目を反らしながら、あたしは蓮の手を肩から離した。
「べつに避けてない。今日は本当に忙しいだけ」
「とか言って昨日も同じこと言ってたよな?」
「………………本当だし。忙しいんだよ最近」
考えることがいっぱいで。
主にあんたのことなんだけど。
「問題が多くて(あたしの頭の中だけど)。考えないといけなくて(答えがでないと気がすまないし)。だから問題が全部解決したら一緒にお弁当食べるから(いつになるのかわかんないけど)、解決するまで待ってくれ」
蓮のことで悩んでるってことだけは附せて、それ以外は本当のことを言った。
べつに隠すほどのことじゃないし。
これで蓮も納得してくれたらいいんだけどね。
「……わかった。じゃあオレも一緒にその問題解決するの、手伝ってやるよ」
「はあ!? い、いいし!いらねえよ!寧ろ邪魔になるだけだから!」
あんたのことで悩んでるのに、あんたに手伝ってもらうわけないでしょうが!
「遠慮すんなって」
「してねぇよ!」
「照れんなって」
「照れてねぇよ!なんなんだお前は!」
「え、神宮 蓮様だけど」
「うぜぇな!なんだよ蓮様って!とにかく、手伝いとかそんなの必要ねぇから!お前はしばらくあっくんと二人でお弁当食べててくれたらそれでいいから!わかったな!?」
早口で捲し立てて言うと、あたしは教室から出ていった。