女装男子VS男装女子。
「ふう……」

やっと静かなとこにこれた。
まだ冬だから、屋上はちょっと寒いけど。

でも、人いないし考え事にはちょうどいい。

お弁当を開き、もそもそと口に運びながら、考え事に没頭する。

もちろん内容は蓮のことだけど。

「あ、卵焼き美味しい……上手にできたかも」

最近、料理上手になってきたなー。
前から下手ではなかったけど、前以上に上手になったと思う。

いいことだ……


自分の料理の腕に感心する。

明日はなに作ろっかな~…じゃなくて!

蓮!蓮のこと!

「危うく話が反れるところだったぜ……」

ふう、と汗を拭うフリをする。
(だって冬だから汗掻かないもんね)

「…てか考えても答えは一向に出てこないんだよね……」

なんでかわかんないけど。

「やっぱりオレが手伝ってやろうか?」

「! 蓮!?」

何でここにいんの!?

「で、何悩んでんだ?言ってみろ」

「言うわけないでしょ。バカなの?あ、バカなのか」

「オレはバカじゃねぇ。いいから早く言えって」

「あたしよりバカなくせに。てか、言わないって言ってんじゃん。人の話聞けよ」

本当に。
マジ、話聞けっての。

「聞いてるって。でもさ、天野困ってるみてーだから。オレも一緒に考えてやる」

「……そんなこと……しなくていいし」

あんたじゃ絶対に無理だもん。
だって、あんたのことで……蓮のことで悩んでるんだから。

絶対にこの悩みを解決できないくせに、そんなこと言うの、やめてよね。

「一緒に考えて」って、言いたくなっちゃうでしょ。

「ほら、早く言えよ」

「………」

「天野」

なんでそんなに真剣なの。意味わかんない。
だけど、蓮にそんな風に言ってもらえて。「手伝う」って言ってもらえて、こんなにも嬉しいなんて。あたしを探してまで手伝おうとしてくれるなんて。

なんであんたはそんなに……


オレ様なのに優しいのーーーー……

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