女装男子VS男装女子。
ビュウッと風が通り抜ける。

寒い寒い冬の屋上。

「天野?」

聞いて、もらおうか。
蓮のことだってことは隠して。
この、ドキドキがなんなのか。
頬に熱が集中するのは何故なのか。


蓮に教えてもらおうかーーーーー


「……あのね、」

「うん」

真剣に聞いてくれる蓮。
蓮は、どんな答えを教えてくれるんだろう?

「最近、ある人にだけ……ドキドキするの」

「ドキドキ?」

「そう。ドキドキするの。今まではそんなことなかったのに、急にドキドキするようになっちゃったの。頭を撫でられたときとか顔が真っ赤になっちゃったし、その人といつもと同じように接することができなくなっちゃったの。それに、その人に優しくされたとき、嬉しいって思ったの。だけど、なんでこんな風に思うのか、全然わかんない。どうしてかな?」

あたしは真剣に、言葉を選びながら蓮に訊ねる。


あたし自身でもわからないのに、蓮にわかるのかな……?

そんなことを考える。

蓮は少し考える素振りを見せると、あたしを見て

「天野。それは多分……恋だ。お前はそいつに、恋してんだよ。……オレじゃねえことが気に食わねーけど、絶対お前は恋してる。じゃなきゃドキドキなんてしねぇし、嬉しいとも思わねえ。恋してるオレが言うんだから、間違いねぇな」

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